僕は現在22才だ。世間的に見ればもうすでに良い大人で、同級生たちはほとんどが就職をした。
僕はというと、大学を中退し、オーストラリアで自堕落な生活を送っていたが、つい先日日本に帰国して来たのだ。その後は、東京で2週間の隔離生活を無事に終え、家族に顔でも見せようかと、地元に戻って来ている。
地元に戻ってきたのは良いものの、特にすることもなく、ただ毎日をだらだらと過ごしている。
夜は3時ごろまでYouTubeを貪り見て、昼の12時頃にやっと起きると、母親が作り置きしてくれている昼食を食べる。
そして少し昼寝をしてから、またYouTubeをみる。
母親たちが帰ってくる二、三時間前になると、「今日はとても充実していたよ」と見栄をはりたいがために、近くの海岸までギターを持っていき、熱唱する。
日が暮れてきた頃、家に戻ると、夜ご飯の準備を軽くしてあげて、祖父母とたわいもない会話をしながら、両親の帰りを待つ。
そして、夜ご飯を食べ終わると、大して面白くないテレビを見ながら、1日が終わって行く。
果たしてこれは”堕落”で、”怠惰”なのだろうか。
堕落とは、一体どういうことなのかと辞書を引いてみると
”まともな道が歩めなくなって悪の道に落ちること。身を持ちくずすこと。健全さを失って低劣になること。”
らしい。
ふむ。まともな道が歩めなくなったのは確かだが、別に悪の道に落ちているとは思わない。そもそも、”まともな道”などいう定まったものなどないだろう。
その道が”まとも”かどうかはその人自身で決めるわけで、俺は別に自分の選んだ道を”まともでない道”だとは思っていないし、”まともな道”だとも思っていない。数千とある道の、そのうちの一つに過ぎないと思う。
ただ、こんなことをムキになって書いている俺は、確実に健全さを失って低俗なのだろう。きっと俺は”堕落”しているのだ。
そして”怠惰”についてだが、
”すべきことをなまけて、だらしない性質・様子”
らしい。
すべきことを怠けている、とのことだが、正直、俺のするべきことなど無い。
するべきことなどというものは、全て自分で決めるもので、人から強制されるようなものでは無い。
他人から、『お前はこれこれをすべき!』などと言われると、無性に腹がたつ。俺のするべきことなんていうのは、飯を食べることとセックスをすることと睡眠をとることぐらいのものだ。
それ以外のことは、別にする必要の無いことで、やりたかったらやれば良いし、やりたくなければする必要なんて無い。
つまり、俺は別に、するべきことは怠けていないので”怠惰”というのはどうやら違うらしい。
ところで、”堕落”や”怠惰”はそんなに悪いものなのか。俺にはどうでも良い問題に見える。
たとえ堕落していようが、怠惰であろうが、”楽しいか楽しく無いか”が重要であって、堕落や怠惰は問題では無い。
どれだけ他人から”堕落している”や”怠惰だ”なんて言われようと本人が楽しかったらそれで良い。
ただ、大して楽しくも無いのに、その生活を変えようともせずに、ふらふらと生きているのはきっと堕落的で怠惰的で、何かを変える必要がある。
自分自身に問うてみる。
『お前は今の生活が楽しいか?』
答えは、「楽しくない」。
となれば、何かを変えるほかない。だってそれ以外に方法はないのだから
そっか、結局俺はそんなに楽しくない生活を認めるのが嫌で、何か行動する事をビビっていた怠惰人間だったんだ。